ISBN:4003255860 文庫 岩波書店 1962/12 ¥630
3-4年前に絶版になったらしく、どこに行っても見つからない。見つかるのは、意味無く分厚いのに一日で読了できてしまう本ばかり。
2年ぐらい前に日本橋丸善の稀少本フェアで下巻を見つけてから、引越しの淘汰にも負けずここまで積読の最下段を構成してきた甲斐があった。ABC六本木店の岩波文庫稀少本フェアで上巻を見つけたのだ。
ただ、「贋金」の方は良かったのだが、同時に買った坪内逍遥の最後のページに「¥200」なる鉛筆書きの文字。青山ブックセンターって古本も扱うことにしたのか?それとも稀少本に限り古本を売ることが許されるのか?よくわかりませんが,稀少な本を定価で買えるしさほど穢れてもいなかったし良しとした。
昨日は鍋をやるつもりで、前菜でおなか一杯、ビールでおなか一杯。みんなヘベレケだ。ラーメンすら喰えない男。
never too lateのデニー選手、頑張りや。
3-4年前に絶版になったらしく、どこに行っても見つからない。見つかるのは、意味無く分厚いのに一日で読了できてしまう本ばかり。
2年ぐらい前に日本橋丸善の稀少本フェアで下巻を見つけてから、引越しの淘汰にも負けずここまで積読の最下段を構成してきた甲斐があった。ABC六本木店の岩波文庫稀少本フェアで上巻を見つけたのだ。
ただ、「贋金」の方は良かったのだが、同時に買った坪内逍遥の最後のページに「¥200」なる鉛筆書きの文字。青山ブックセンターって古本も扱うことにしたのか?それとも稀少本に限り古本を売ることが許されるのか?よくわかりませんが,稀少な本を定価で買えるしさほど穢れてもいなかったし良しとした。
昨日は鍋をやるつもりで、前菜でおなか一杯、ビールでおなか一杯。みんなヘベレケだ。ラーメンすら喰えない男。
never too lateのデニー選手、頑張りや。
蝶々と戦車・何を見ても何かを思いだす―ヘミングウェイ全短編〈3〉
2005年1月20日 読書
ISBN:4102100121 文庫 潮社 ¥940
ぼくがヘミングウェイをはじめて読み始めたのが高校生の頃。読書感想文か何かのため,適当に書店で選んできたのがたまたま「日はまた昇る」だった。しかし、"学校教育の国語"嫌いのせい、あるいは、義務がすべての根源にあったと言わんばかりに反抗していたお年頃のせいもあって、100ページそこそこで放棄してしまった。
その後,少し本を読むようになったときには既にヘミングウェイの作品群のすべてについて「飽食時代のバナナ」という値札を貼り付け,二度と近寄るまいと自ら決めこんだ。
大分大人になった頃に「誰がために鐘は鳴る」を読んで,心が改まる思いをした後,この短編集(文庫では全3巻)を読み,つくづく感じた,「たまたま最初に読んだものがつまらなかったからと言ってある作家のすべてを見捨てるような姿勢はよくない」と。
この作家に限っては,次の作品次の作品と読み進むほどにおもしろくなるのだ。
とはいえ,1冊しか読んだことが無いにもかかわらずもう二度と読みたくない作家がぼくには結構いてしまう。2冊目を読んでも絶対面白いと思わない自信があったとしても読むべきなのだろうか。必ずしもそうは思わない。
人の精神は移ろい漂う部分があるものだから,何かについて常に普遍/不変なイメージや思いを抱き続けることは難しいが,同時に普遍/不変なものの上に成り立っているのがぼくなのだ。
ぼくがヘミングウェイをはじめて読み始めたのが高校生の頃。読書感想文か何かのため,適当に書店で選んできたのがたまたま「日はまた昇る」だった。しかし、"学校教育の国語"嫌いのせい、あるいは、義務がすべての根源にあったと言わんばかりに反抗していたお年頃のせいもあって、100ページそこそこで放棄してしまった。
その後,少し本を読むようになったときには既にヘミングウェイの作品群のすべてについて「飽食時代のバナナ」という値札を貼り付け,二度と近寄るまいと自ら決めこんだ。
大分大人になった頃に「誰がために鐘は鳴る」を読んで,心が改まる思いをした後,この短編集(文庫では全3巻)を読み,つくづく感じた,「たまたま最初に読んだものがつまらなかったからと言ってある作家のすべてを見捨てるような姿勢はよくない」と。
この作家に限っては,次の作品次の作品と読み進むほどにおもしろくなるのだ。
とはいえ,1冊しか読んだことが無いにもかかわらずもう二度と読みたくない作家がぼくには結構いてしまう。2冊目を読んでも絶対面白いと思わない自信があったとしても読むべきなのだろうか。必ずしもそうは思わない。
人の精神は移ろい漂う部分があるものだから,何かについて常に普遍/不変なイメージや思いを抱き続けることは難しいが,同時に普遍/不変なものの上に成り立っているのがぼくなのだ。
ユリシーズのダブリン―Dublin-the city of James Joyce
2004年10月5日 読書
ISBN:4309202578 単行本 柳瀬 尚紀 河出書房新社 1996/03 \2,243
寒い国は無条件で好きだ。古くてビールがうまければなお良し。
ジョイスの「ユリシーズ」を読んでダブリンに憧れたあなたがこの書を読むと、ダブリンが「遠のく」か「自分のものになったかのような錯覚を覚える」のいずれかの感を抱くに違いない。もし、「べつに何も思わない」ならばそれは前提がうそなのだ:つまり、あなたはジョイスの「ユリシーズ」を読んでダブリンには憧れなかったか、あるいは少しの想像力が足りなかったか、だ。
残念ながらこの書は「ユリシーズ」という別の書物を読んだ人に読者層が絞られているため、ある種排他的な感じがするのは否めない。しかし、順序は逆でも良い、この書物の中のアルファベット(原文)と親しみなれた文字列(翻訳)、そして幾つかの古い写真を同時並列的に感覚したあなたは、一見文字列の駄列とも思わしき「ユリシーズ」の断片断片を走査したくなるに違いないし、実際私はそうしたくてたまらない、いや、この足で。
寒い国は無条件で好きだ。古くてビールがうまければなお良し。
ジョイスの「ユリシーズ」を読んでダブリンに憧れたあなたがこの書を読むと、ダブリンが「遠のく」か「自分のものになったかのような錯覚を覚える」のいずれかの感を抱くに違いない。もし、「べつに何も思わない」ならばそれは前提がうそなのだ:つまり、あなたはジョイスの「ユリシーズ」を読んでダブリンには憧れなかったか、あるいは少しの想像力が足りなかったか、だ。
残念ながらこの書は「ユリシーズ」という別の書物を読んだ人に読者層が絞られているため、ある種排他的な感じがするのは否めない。しかし、順序は逆でも良い、この書物の中のアルファベット(原文)と親しみなれた文字列(翻訳)、そして幾つかの古い写真を同時並列的に感覚したあなたは、一見文字列の駄列とも思わしき「ユリシーズ」の断片断片を走査したくなるに違いないし、実際私はそうしたくてたまらない、いや、この足で。
ISBN:4003226216 文庫 George Orwell 岩波書店 1982/01 ¥798
この評論集に収められている"ナショナリズムについて"は、人類のはまり道を地味にわかりやすく教えてくれる。当たり前のようにIntegral(1984+動物農場)なところが如実。カリカチュアや近未来SFが単なる手段に過ぎなかったことが改めてよくわかる。
この評論集に収められている"ナショナリズムについて"は、人類のはまり道を地味にわかりやすく教えてくれる。当たり前のようにIntegral(1984+動物農場)なところが如実。カリカチュアや近未来SFが単なる手段に過ぎなかったことが改めてよくわかる。
ISBN:4309462464 文庫 Gバタイユ 河出書房新社 2004/07/02 ¥882
難しいことを言う作家の作品についての、難しい解説や批評はプロの人にまかせてここでは、人力キーワード抽出。ひとによってはオントロジイ抽出などというのかもしれないが。
死の欲動
死姦
汗臭さ
飲みすぎた人のすっぱくさい息
一滴も流れない血
死に損ない
共和国
ゲリラ・テロ
飛行機
難しいことを言う作家の作品についての、難しい解説や批評はプロの人にまかせてここでは、人力キーワード抽出。ひとによってはオントロジイ抽出などというのかもしれないが。
死の欲動
死姦
汗臭さ
飲みすぎた人のすっぱくさい息
一滴も流れない血
死に損ない
共和国
ゲリラ・テロ
飛行機
ユーカラの人びと 金田一京助の世界1
2004年7月6日 読書
ISBN:4582764959 単行本 藤本 英夫編 平凡社 2004/04/08 ¥1,260
明治時代のアイヌ研究家による随筆集。
知里幸恵の日記を含む彼女の思い出に纏わる一章が、絵に描いたように綺麗だ。時代のわりに平易な金田一の文章の滑らかさもすがすがしいが、それ以上に金田一のフィルターを通した知里幸恵が素敵だ。
明治時代のアイヌ研究家による随筆集。
知里幸恵の日記を含む彼女の思い出に纏わる一章が、絵に描いたように綺麗だ。時代のわりに平易な金田一の文章の滑らかさもすがすがしいが、それ以上に金田一のフィルターを通した知里幸恵が素敵だ。
フリアとシナリオライター
2004年6月16日 読書
ISBN:4336035989 単行本 マリオ-バルガス=リョサ 国書刊行会 2004/05 ¥2,520
ついに出た!まだ息のある(失礼)、現役作家の新作!(の翻訳。原作が出たのは実は1970年代なんですが)。とにかくこいつはMSWORDのテンプレートのようにバルガス=リョサっぽい。具体的には25ページ目から展開される散逸の構造がバルガス=リョサ的掟の門となる。
バルガス=リョサっぽさって何だろう。固有名詞?固有名詞-土地の名?、固有名詞-人の名?。それとも、繋がりの無い読書がいつのまにか、すべて必然的であったかのように思える行為の余韻?
とにかくバルガス=リョサを知る人も知らない人も、本書のバルガス=リョサっぽさに浸ってみないことには、本当のバルガス=リョサっぽさがわからないぞ!
というワタクシ、まだ1/3ほどしか読み進んでいなかったり。色々忙しいんです。仕事とか私事とか。
ついに出た!まだ息のある(失礼)、現役作家の新作!(の翻訳。原作が出たのは実は1970年代なんですが)。とにかくこいつはMSWORDのテンプレートのようにバルガス=リョサっぽい。具体的には25ページ目から展開される散逸の構造がバルガス=リョサ的掟の門となる。
バルガス=リョサっぽさって何だろう。固有名詞?固有名詞-土地の名?、固有名詞-人の名?。それとも、繋がりの無い読書がいつのまにか、すべて必然的であったかのように思える行為の余韻?
とにかくバルガス=リョサを知る人も知らない人も、本書のバルガス=リョサっぽさに浸ってみないことには、本当のバルガス=リョサっぽさがわからないぞ!
というワタクシ、まだ1/3ほどしか読み進んでいなかったり。色々忙しいんです。仕事とか私事とか。
ISBN:4329000598 ロラン・バルト 篠沢秀夫訳 現代思潮新社 1967/07 ¥2,310
たくさんの顔を持つロラン・バルト。でもその蓋の中身は意外といつもの安心の個性なのだ。「神話作用」というコトバはひとつのキーワードとなって久しいが,本当の神話を知らないぼくにとって彼の言葉はどこまで届くのだろうか。また,神話を知らなければ,この作用の概念を理解できないのだろうか?そうすると,神話とは人間ならば誰もが予め必ず把握/解釈しておくべきものなのだろうか。否。神話とは所謂古事記だとかアーサー王物語だとかホメロスだけではなく,K-1やF-1,SerieAやプレミアリーグ,シンザンやダンシングブレーブなどからも生じる話なのだ。
たくさんの顔を持つロラン・バルト。でもその蓋の中身は意外といつもの安心の個性なのだ。「神話作用」というコトバはひとつのキーワードとなって久しいが,本当の神話を知らないぼくにとって彼の言葉はどこまで届くのだろうか。また,神話を知らなければ,この作用の概念を理解できないのだろうか?そうすると,神話とは人間ならば誰もが予め必ず把握/解釈しておくべきものなのだろうか。否。神話とは所謂古事記だとかアーサー王物語だとかホメロスだけではなく,K-1やF-1,SerieAやプレミアリーグ,シンザンやダンシングブレーブなどからも生じる話なのだ。
フアン・ルルフォ 岩波文庫
直前に読んでいた,カルヴィーノ「冬の夜一人の旅人が」の断章に,明らかな南米文学モノパロディが含まれていたので急遽書棚を漁り掘り当てた。読みはじめて驚き。カルヴィーノの「冬の〜」を読んでいた時、このパロディ元作品はガルシア=マルケスかヴァルガス=リョサのどちらかによるものだろうというアタリを付けていたのだが、「ペドロ・パラモ」のイントロでこれまでの全ての仮定は消え去った、つまりカルヴィーノが本作を元に断章を書いた可能性が高い、と思ったのだ。どうせどこかの暇人研究者が相当前に調べてしまったのかもしれないようなことなんだろうけど。
本作は「いかにも20世紀の南米文学です」という作品。暇人研究者なら「ガルシア=マルケスとフアン=ルルフォがその後の潮流を作った」なんて偉そうに言うのかもしれないけど。
20世紀南米文学から頻繁に感じ取れることは、まず、筋がシャッフルされたかのように思えること、次に、登場人物が多く、かつ、彼らの名前が長かったり、あるいは、複数の名前で指示されること、さらに、男は残虐で、女はモノのように扱われているように思えるところ。暇人研究者なら、これらをして、20世紀南米文学における「普遍的主題」なんて偉そうに言うに違いない。
って別にぼくは南米文学研究者に喧嘩を売っている訳ではないっす.パロディを実演してみたかっただけなんっす.似ても似つかない?はい、そうかもしれないっす.悪しからず.
直前に読んでいた,カルヴィーノ「冬の夜一人の旅人が」の断章に,明らかな南米文学モノパロディが含まれていたので急遽書棚を漁り掘り当てた。読みはじめて驚き。カルヴィーノの「冬の〜」を読んでいた時、このパロディ元作品はガルシア=マルケスかヴァルガス=リョサのどちらかによるものだろうというアタリを付けていたのだが、「ペドロ・パラモ」のイントロでこれまでの全ての仮定は消え去った、つまりカルヴィーノが本作を元に断章を書いた可能性が高い、と思ったのだ。どうせどこかの暇人研究者が相当前に調べてしまったのかもしれないようなことなんだろうけど。
本作は「いかにも20世紀の南米文学です」という作品。暇人研究者なら「ガルシア=マルケスとフアン=ルルフォがその後の潮流を作った」なんて偉そうに言うのかもしれないけど。
20世紀南米文学から頻繁に感じ取れることは、まず、筋がシャッフルされたかのように思えること、次に、登場人物が多く、かつ、彼らの名前が長かったり、あるいは、複数の名前で指示されること、さらに、男は残虐で、女はモノのように扱われているように思えるところ。暇人研究者なら、これらをして、20世紀南米文学における「普遍的主題」なんて偉そうに言うに違いない。
って別にぼくは南米文学研究者に喧嘩を売っている訳ではないっす.パロディを実演してみたかっただけなんっす.似ても似つかない?はい、そうかもしれないっす.悪しからず.
冬の夜ひとりの旅人が
2004年5月10日 読書
イタロ・カルヴィーノ
これは凄いぞ。久々に不思議な書物に出会ったぞ。一言で言うと"「読むこと」についてのメタ空間から書かれた書物"。2章に一度の割合で話が突然終わるので苛苛したくもなるが,大切なのは断章の筋などではなく,作者と俺とお前の関係なのだ。自らを読書家だと甚だ妥当にも思っているような人にはなお更お勧め。性的描写へのヒトヒネリや日本文学パロディ(三島かな?)なんかもあるぞ。
これは凄いぞ。久々に不思議な書物に出会ったぞ。一言で言うと"「読むこと」についてのメタ空間から書かれた書物"。2章に一度の割合で話が突然終わるので苛苛したくもなるが,大切なのは断章の筋などではなく,作者と俺とお前の関係なのだ。自らを読書家だと甚だ妥当にも思っているような人にはなお更お勧め。性的描写へのヒトヒネリや日本文学パロディ(三島かな?)なんかもあるぞ。
ISBN:4122043522 文庫 鷲田 清一 中央公論新社 2004/04 ¥840
久々に,平易でかつ的確なことを言う小論文集に出会った。まったくもって比較にならないけれど,著者は,M・トゥルニエの「イデーの鏡」なんかよりも数段にすばらしいことを言っている。なによりも誰にもわかる言語で書かれている点が評価に値する。激混の朝の田園都市線なんかで小さめの女性の頭上で読むのに適している。寄り道や遠回りの賛美,目的を持ちすぎることへの警鐘にひたすら同意。
久々に,平易でかつ的確なことを言う小論文集に出会った。まったくもって比較にならないけれど,著者は,M・トゥルニエの「イデーの鏡」なんかよりも数段にすばらしいことを言っている。なによりも誰にもわかる言語で書かれている点が評価に値する。激混の朝の田園都市線なんかで小さめの女性の頭上で読むのに適している。寄り道や遠回りの賛美,目的を持ちすぎることへの警鐘にひたすら同意。
グラムシ・セレクション
2004年4月21日 読書
ISBN:4582763928 単行本 片桐 薫 平凡社 2001/04 ¥1,365
あまりの頑な青年的発想に時折反吐が出そうになるくだりもあるが(特にロシア革命前後のに書かれたもの),この人のオリジナリティあふれる言説やメタファには感心させられるものがある。
本書は,有名なサバルタンやヘゲモニーはもちろん,多重構造の田舎ものや陣地戦や受動的革命など魅惑溢れる概念の宝庫であるグラムシの著作群を編者が勝手に切り貼りしたものである。というと編者に喧嘩売ってるようにも聞こえるがそういうことを言いたいのではなく,本書がグラムシの「著作」では無くマイニングを受けた二次データである,ということが言いたいのである。
未だコトバに中身がついてゆかない気もするこれらの概念は,生成時から少しずつ熟成され,70〜80年代にサイードやチョムスキー,ポスト構造主義などを経由し,最近ではスパビック,ジジェクらの"現役者"による著書のタイトルにすらなってしまう重要な見出し語になっている。
ただし,たった今ここに書いた文と同の如く,それら概念が単なる固有名の羅列,頭の中の蛙的表層の戯れに留まるならば,マルタ会談は再帰的に訪れることになる。グラムシ自身,本書で触れているが,辞書的知識の集積は儚く,今ではWebクローラーなんかが毎日ぼくらが寝てる間にせっせとやってしまう程度ことである。
このグラムシの思想について,正直なところまだ1/3ぐらいしか読んでいないが,魅惑的なメタファと裏腹の悲しい戯れを感じざるを得ない部分がある。例えば,このイラクの状況については何が言えるか?少なくともサイードの「オリエンタリズム/パレスチナ」についての思想(もちろんグラムシを参照しているが)の方がぼくにはもっともらしく聞こえる。
ここで重要な問題となるのは,「ノート」や「手紙」以外にグラムシの「主著」が無いことにある。それだから時に過剰なテクスト分析まがいなことが始まるのだ。似たようなことは,主著はあるがそれがアフォリズムの体裁をとるウィトゲンシュタインにもあてはまるのではないだろうか。
あまりの頑な青年的発想に時折反吐が出そうになるくだりもあるが(特にロシア革命前後のに書かれたもの),この人のオリジナリティあふれる言説やメタファには感心させられるものがある。
本書は,有名なサバルタンやヘゲモニーはもちろん,多重構造の田舎ものや陣地戦や受動的革命など魅惑溢れる概念の宝庫であるグラムシの著作群を編者が勝手に切り貼りしたものである。というと編者に喧嘩売ってるようにも聞こえるがそういうことを言いたいのではなく,本書がグラムシの「著作」では無くマイニングを受けた二次データである,ということが言いたいのである。
未だコトバに中身がついてゆかない気もするこれらの概念は,生成時から少しずつ熟成され,70〜80年代にサイードやチョムスキー,ポスト構造主義などを経由し,最近ではスパビック,ジジェクらの"現役者"による著書のタイトルにすらなってしまう重要な見出し語になっている。
ただし,たった今ここに書いた文と同の如く,それら概念が単なる固有名の羅列,頭の中の蛙的表層の戯れに留まるならば,マルタ会談は再帰的に訪れることになる。グラムシ自身,本書で触れているが,辞書的知識の集積は儚く,今ではWebクローラーなんかが毎日ぼくらが寝てる間にせっせとやってしまう程度ことである。
このグラムシの思想について,正直なところまだ1/3ぐらいしか読んでいないが,魅惑的なメタファと裏腹の悲しい戯れを感じざるを得ない部分がある。例えば,このイラクの状況については何が言えるか?少なくともサイードの「オリエンタリズム/パレスチナ」についての思想(もちろんグラムシを参照しているが)の方がぼくにはもっともらしく聞こえる。
ここで重要な問題となるのは,「ノート」や「手紙」以外にグラムシの「主著」が無いことにある。それだから時に過剰なテクスト分析まがいなことが始まるのだ。似たようなことは,主著はあるがそれがアフォリズムの体裁をとるウィトゲンシュタインにもあてはまるのではないだろうか。
ISBN:4488016383 単行本 栩木 伸明 東京創元社 2004/02 ¥3,360
早く読みたくてうずうずしている。まとまった時間に読みたい。レビューじゃないけど。わりと一般的な書評でほめられている点が少し引っかかるけれど。よく澁澤と比較されているようだ。ジャケット(?)も良い。
早く読みたくてうずうずしている。まとまった時間に読みたい。レビューじゃないけど。わりと一般的な書評でほめられている点が少し引っかかるけれど。よく澁澤と比較されているようだ。ジャケット(?)も良い。
ISBN:4344405153 文庫 吉田 修一 幻冬舎 2004/04 ¥560
久しぶりに生きている日本人の書を買ったので,まだ全部読みきっていないけれど「レビュー」。駅前のミニ本屋で購入。解説川上弘美。同名の著作が故?バイオハザード2にGIVENCHYのウルトラマリン,か。たった数年で時代は変わっているのだな。
久しぶりに生きている日本人の書を買ったので,まだ全部読みきっていないけれど「レビュー」。駅前のミニ本屋で購入。解説川上弘美。同名の著作が故?バイオハザード2にGIVENCHYのウルトラマリン,か。たった数年で時代は変わっているのだな。
夢・アフォリズム・詩
2004年4月14日 読書
ISBN:4582761496 フランツ・カフカ 平凡社 1996/06 ¥1,223
全集を買うつもりなので無駄かな,と思うも,電車の友としての文庫。
まず,なによりウィトゲンシュタインとの類似を論じてみたくなるが,形式に騙されてはいけない。此方のテーマは哲学的探究とは異なる層にあるのだ。人称の試み。"私は(訳注:彼は)"という日記。その不条理な他(世)界では常に二律背反の中心が見え隠れする。
全集を買うつもりなので無駄かな,と思うも,電車の友としての文庫。
まず,なによりウィトゲンシュタインとの類似を論じてみたくなるが,形式に騙されてはいけない。此方のテーマは哲学的探究とは異なる層にあるのだ。人称の試み。"私は(訳注:彼は)"という日記。その不条理な他(世)界では常に二律背反の中心が見え隠れする。
すぐそこの遠い場所―The dictionary of Azoth
2004年4月12日 読書
クラフト・エヴィング商会 ちくま文庫
とても綺麗な本である。しかし,中身はちょっと中途半端。良い線いってんだけど,なーんか表層の戯れがドクドクしている。
あんまり深く物事を考えたくない時などに,軽い気持ちで,綺麗な本の綺麗な雰囲気を楽しみたいときにおすすめ。
とても綺麗な本である。しかし,中身はちょっと中途半端。良い線いってんだけど,なーんか表層の戯れがドクドクしている。
あんまり深く物事を考えたくない時などに,軽い気持ちで,綺麗な本の綺麗な雰囲気を楽しみたいときにおすすめ。
■新人研修にて,「若手」が徴集されたのでしょうがないからしゃべりに行った.「毎日12時前に家に帰れません」「週に何度か,通勤に5都県横断してます」と言うのが憚られたので,「9時-9時ぐらいですかね」というと,「…」だった.
■ネタ
ネタが切れたから,今,その辺に転がっている本から適当なページを引用してみようと思う.
「驚異の発明家の形見箱」-アレン・カーズワイル
「私の人生観」-小林秀雄
■ネタ
ネタが切れたから,今,その辺に転がっている本から適当なページを引用してみようと思う.
クロードが座ると,ユゴン夫人はある魚からとったクリーム状の薬を手のひらにつけた。クロードは戸棚の中の他の薬品を見た。牝驢馬の乳が一番目だった。ユゴン夫人は慣れた仕種でクロードの半ズボンの中に手を差し入れた。
「驚異の発明家の形見箱」-アレン・カーズワイル
一体文化という言葉からしてでたらめである。文化という言葉は、本来、民を教科するのに武力を用いないという意味の言葉なのだが,それをcultureの訳語に当てはめて了ったから、文化と言われても、私達には何の語感もない。
「私の人生観」-小林秀雄
日本近代文学評論選 (明治・大正篇)
2004年3月26日 読書グラムシ・セレクション
2004年3月26日 読書
ISBN:4582763928 単行本 片桐 薫 平凡社 04/2001 ¥1,300
ってまだ読んでいません。
懐かしのサンバルカンについて勉強したいと思います。
でもこれどこの本屋にも見当たらないんです。
Amazonで買えるかな。
ってまだ読んでいません。
懐かしのサンバルカンについて勉強したいと思います。
でもこれどこの本屋にも見当たらないんです。
Amazonで買えるかな。
#読みかけ
?"富士日記" 武田百合子
?"マーフィー" S・ベケット
?"源氏物語" 紫式部
?"大正時代の身の上相談" カタログハウス編
#次候補
?"腐ってゆく魔術師" G・アポリネール
?"Empire" Negri & Heart
?"幾何学の起源" E・フッサール(J・デリダ)
?"反復" A・ロブ=グリエ
?"フォークナー全集" W・フォークナー
?"フィネガンズ・ウェイク" J・ジョイス
?"純粋現象学及現象学的哲学考察" E・フッセル
?"官能の夢" M・バルガス=リョサ
#未入手
?"文学空間" M・ブランショ
?"ユリシーズ・グラモフォン" J・デリダ
?"獄中ノート" A・グラムシ
?"トゥルー・ストーリーズ" P・オースター
?"富士日記" 武田百合子
?"マーフィー" S・ベケット
?"源氏物語" 紫式部
?"大正時代の身の上相談" カタログハウス編
#次候補
?"腐ってゆく魔術師" G・アポリネール
?"Empire" Negri & Heart
?"幾何学の起源" E・フッサール(J・デリダ)
?"反復" A・ロブ=グリエ
?"フォークナー全集" W・フォークナー
?"フィネガンズ・ウェイク" J・ジョイス
?"純粋現象学及現象学的哲学考察" E・フッセル
?"官能の夢" M・バルガス=リョサ
#未入手
?"文学空間" M・ブランショ
?"ユリシーズ・グラモフォン" J・デリダ
?"獄中ノート" A・グラムシ
?"トゥルー・ストーリーズ" P・オースター
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