昨日は星も見ぬ間に宝箱の如き地上絵を見ながらニューオリンズへ到着した.ジェットラグ未解消ながら,朝7時半に目が覚めてやや減退気味も,それ以上眠りにつけなかったのでプランを変えた.

さあー気合入れていこーと思ってわざわざスーツまで着てめかしこんで行ったのが朝マック,なんだよ,日本とかわんねーじゃんと思うでせふが,店内には労働者風の黒人ばかりで白人はおろか東洋人などいるはずも無く,何かと自意識過剰になりがちなのが一人旅の道中で,この時の店員を含め周囲の「スーツを来た胡散臭いやろうめ」という殺意は相当なものだった.

気を取り直してホテルに戻り上着とネクタイを投げ捨ててレジスタ.確かに1ヶ月ぐらい前Webでレジスタしたのにぼくの名前が無い,気の毒そうなおばちゃんが赤い服を着たマザメリーのような優しさで接してくれた.

今日は午後のセッションからだったので当然出かけることにした.

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目指すはフレンチ・クォーター.

ざっと地図に目を通すとぼくの得意な碁盤状の道だらけだったのでそれ以上はろくに地図を見ず,適当に目星をつけて歩き出す.州立大学,病院,などを過ぎるとコンビニ以上スーパー未満があったのでevianを買う.ホテルには冷蔵庫が無いんだよねぇ.この辺も9割が黒人.ずーっと歩くと高速道路が見えてきて,「最低速度40マイル」というのを仰いだが,フレンチクォーターらしき一角は見えてこず,かわりに見えるのは住宅街,ガソリンスタンド,空き家の看板,ゴミ箱,墓地など。。どうやら迷ったらしい.

住宅街に入るとあちこちで黒人たちが座り込んでいる光景が見られた.一日のうちでこんなにたくさんの黒人を見たのは多分今日が初めてだと思うししかもみんな裕福には見えなかったから結構警戒しながら歩いていた.どこまでいっても住宅街で,時に離れ犬がうろうろしているのが目に付いた.大の犬好きで知られるぼくをしてもこいつらの頭をナデナデなど考えられない.おまけに黒人の英語は難易度が高いので白人をさがして道を聞こうと思うも本当にどこにも見当たらないのである.さあ困ったしょうがない地図を開こう.最初からこうしていればよかったのだが.

実は覚えずしてホテルの目の前の道と同じ"Dauphine"通りに出ていたのだが,交差するとおりの名は地図に無いもの,すなわち,ぼくがもっている地図の外まで来てしまった.この地図の左下隅にホテルがあるので,これを下ればいつかは帰れると思うと思わずガッツポーズが出てしまいおじさんにぶつかりそうになる.Dauphineが左45度に屈折しているところを超えるとそこはもうフレンチクォーターらしい.しかし,それらしさはあまり感じられずしいて言うなら少し白人が増えてきたのと家がきれいになってきたことぐらい.

Dauphineの一本東にかのBourbone Street【バーボン・ストリート】が位置している.しかし,フレンチクォーター自体は昼間はあまり見るべきところが無いことが判明した.しょうがない,思い出作りにとひとつのレストランに入って今日の課題"statistical machine translation"の資料に目を通す.こんなに歩いてもやはりジェットラグだったのでビールを泣く泣く我慢してコークを一気に流し込む,噂に違わずアメリカのコークはまずかった.さらに驚いたのがジャンバラヤ.当然日本人としてはジャンバラヤ=デニーズで単語帳的に記憶しているはずなので,ケチャップと鶏肉のリゾット風カリフォルニア米スープが出された瞬間,これを完食することを諦めたのだった.

気を取り直して歩きだすと,そこではギター弾きのおっさんが奏でる罵声いや美声やトロンボーンの切ない調べが昼前の街に鳴り響いていた.このあたり(ジャクソン広場〜ルイジアナ高裁)まで歩くと辺りには地図を見ながらウロウロしている白人老夫妻やパンツいっちょでランニングに励むヤンキーたちで「活気がある」街が体現されていた.

適当に歩いているとホテルの近所まで来ていたらしいのだが,ズバリどこをどう歩くべきか今一よく分からなかったので,ちょうど後ろを振り返ったら目が合った愛想の良い清楚な女性に道を聞いた.何だよ,この英語ならぜんぜん分かるぞ,と勝手に自信をつけて彼女の慢心の笑みと綺麗な"your welcome!"の発音を反芻しながらホテルに戻る.

さあて,チュートリアルに行ってきます.

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耳掻き棒を持ってくるのを忘れたのは痛い.

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