参照

永劫回帰を数学的に立証しようとする人と
数学的にけちをつける人．どっちもそんな
にかわらないような気もする．そこには，
「数学」や「哲学」はあるが，互いの「参
照」が欠けているのだ.

ガブリエル・ガルシア-マルケスの「予告さ
れた殺人の記録」．ジュネットの分類では
どういうところのものなのかって言うこと
は既に記憶の外であるが，「南米文学」と
一くくりにすることが許されるのならば，
私は，マルケスのこの作品以来，「南米文
学」の虜だ．ご存知の方もいらっしゃる
ことだろうが，　今をときめく日本の大
種牡馬，サンデーサイレンスにも，この
南米の血が脈々と流れているのだ．競争
馬において，世界的大種牡馬の血統は，
ほとんど西欧，北米にかたよっているが
ために，このことは記憶に留めるに値す
る．

文学は，「参照」することにより，はじ
まる．はじまりは，もちろん「文学」以
外のものからだろうが.

サラブレッドは「遺伝子」が「参照」と
呼べる形態をもつ．このことが，生物一
般にもいえることは疑いもないだろう.

学術論文も，特許も，「参照」を理解し
てのみ本当の知識となる.

そして言語．
「辞書」，「シソーラス」，「コーパス」
云々.　

参照の体系の中にいる我々は，その有機的
環境/非有機的環境のいずれにおいてもマッ
ピングが可能な範囲で事物を認識し，創造
する．