ぼくは,とある国へ出かけた.その詳細は
未だに不明だが,とにかく,パスポートを
持たずに何処かの空港を抜け出したことは
記憶に残っている.
ゆったりと街を見物してあるく暇はなかっ
たが,その日の第一食目を繁華街のカフエ
でとる.そこで狂気が始まる.なんと,そ
の店,サービスでテーブルごとに女の子が
つきしかも,いきなりあんなことやこんな
ことをしてくれるらしい.法外な値段を請
求される暴利カフエかと思い一瞬荷物をま
とめるが,よこのおっさんの
「この国ではこれは普通のサービスなのさ」
との言葉に猜疑を一段階軽くする.まもな
くぼくのテーブルにも女の子がくるだろうか
といったそのとき,タイミング惡く,この
仕事のパートナーとなる女が来店した.
彼女はぼくを見つけるなり
「急いで,早く!」
と言い放ち,しぶしぶぼくは勘定を済ませる
とよこのおっさんは
「にーちゃん,残念だったな,また来てみる
といいぜ」
といって親指を立てた.
わけもわからないままぼくは彼女について走
った.彼女はものも言わず,鉄道の切符をぼ
くにわたし,オーストリアの某駅まで行くよ
うに言った.
電車の中,つまらない景色に辟易している時,
その街が突然視界に入って来た.駅前の立体
交差がおぞましいほど複雑な構造で,道路な
んぞはほとんど螺旋階段のように縦にながか
った.よくぞこれで事故がおきないなと思っ
てしまうほど.パスポートがないままオース
トリアのこんなところまできてしまったこと
に少々びびりはじめるも,とにかく指令に従
う前に昼飯でも食おうと思い,街をぶらつく.
ぼくがむかし旅をしたときに同じように飯を
求めてさまよった福島の市街地を髣髴させる
ような構造の都市だった.その街は福島より
も規模が大きいにもかかわらず,人がぜんぜ
ん見当たらなかった.薄気味の惡さを感じた
せいか,人恋しくなったのか,あしどりは自
然と駅へ戻る方向へ向かっている.
あ〜,ココの言葉は全然わからない,となげ
やりになっているところに「Mcdonalds」の
赤い看板があったのでよく見ると,なんと
日本語も書いてある!しかし,
「チキンカツバーガー,なんと400円!」
いくらなんでも高すぎだ,この国.
よくわからず,指定された時間にはまだ早か
ったため,よくわからないまま飯を求めて
なぜかバスに乗った.バスの中で寝て,目が
覚めた時は,同じ駅前にいた.そうか,環状
だったのか.しかし!バスがスーパーマーケ
ットの中に入っていくではないか!あたりを
見回しても誰も何の驚きの表情を浮かべてい
ないため,これがこの街の「普通」なのかと
半ば絶望的に現実を受け入れる.バスから
おりてくおばちゃんたちにとってはこの上な
く便利なことだ.ある乗客が運転手に言う,
「このバスはブラジルには行かないのか?」
「あ,ブラジル行きは子供服売り場ですよ,
なお,このバスはサウジ・アラビア行き
になります.」
「あ,そっか,どうもな」
世界のさまざまな軸は既にゆがんでしまって
いた.
未だに不明だが,とにかく,パスポートを
持たずに何処かの空港を抜け出したことは
記憶に残っている.
ゆったりと街を見物してあるく暇はなかっ
たが,その日の第一食目を繁華街のカフエ
でとる.そこで狂気が始まる.なんと,そ
の店,サービスでテーブルごとに女の子が
つきしかも,いきなりあんなことやこんな
ことをしてくれるらしい.法外な値段を請
求される暴利カフエかと思い一瞬荷物をま
とめるが,よこのおっさんの
「この国ではこれは普通のサービスなのさ」
との言葉に猜疑を一段階軽くする.まもな
くぼくのテーブルにも女の子がくるだろうか
といったそのとき,タイミング惡く,この
仕事のパートナーとなる女が来店した.
彼女はぼくを見つけるなり
「急いで,早く!」
と言い放ち,しぶしぶぼくは勘定を済ませる
とよこのおっさんは
「にーちゃん,残念だったな,また来てみる
といいぜ」
といって親指を立てた.
わけもわからないままぼくは彼女について走
った.彼女はものも言わず,鉄道の切符をぼ
くにわたし,オーストリアの某駅まで行くよ
うに言った.
電車の中,つまらない景色に辟易している時,
その街が突然視界に入って来た.駅前の立体
交差がおぞましいほど複雑な構造で,道路な
んぞはほとんど螺旋階段のように縦にながか
った.よくぞこれで事故がおきないなと思っ
てしまうほど.パスポートがないままオース
トリアのこんなところまできてしまったこと
に少々びびりはじめるも,とにかく指令に従
う前に昼飯でも食おうと思い,街をぶらつく.
ぼくがむかし旅をしたときに同じように飯を
求めてさまよった福島の市街地を髣髴させる
ような構造の都市だった.その街は福島より
も規模が大きいにもかかわらず,人がぜんぜ
ん見当たらなかった.薄気味の惡さを感じた
せいか,人恋しくなったのか,あしどりは自
然と駅へ戻る方向へ向かっている.
あ〜,ココの言葉は全然わからない,となげ
やりになっているところに「Mcdonalds」の
赤い看板があったのでよく見ると,なんと
日本語も書いてある!しかし,
「チキンカツバーガー,なんと400円!」
いくらなんでも高すぎだ,この国.
よくわからず,指定された時間にはまだ早か
ったため,よくわからないまま飯を求めて
なぜかバスに乗った.バスの中で寝て,目が
覚めた時は,同じ駅前にいた.そうか,環状
だったのか.しかし!バスがスーパーマーケ
ットの中に入っていくではないか!あたりを
見回しても誰も何の驚きの表情を浮かべてい
ないため,これがこの街の「普通」なのかと
半ば絶望的に現実を受け入れる.バスから
おりてくおばちゃんたちにとってはこの上な
く便利なことだ.ある乗客が運転手に言う,
「このバスはブラジルには行かないのか?」
「あ,ブラジル行きは子供服売り場ですよ,
なお,このバスはサウジ・アラビア行き
になります.」
「あ,そっか,どうもな」
世界のさまざまな軸は既にゆがんでしまって
いた.
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