物心ついた時間には,推敲に入っていた.
推敲というか,文字数減らし.学会用の
アブストラクトは2000文字なのだが,
専攻提出用のそれは1000文字だったから.

笑っていいとも〜ごきげんよう〜昼ドラ
のどこかで作業が終わったと記憶する.
その後,腹が減ったことをひた殺しにし,
家を出る.

研究室にはM2のO氏とM1のM松氏.
O氏は研究の性質上,多数の被験者と
の連携に終始追われている様子.ぼくは
離れた端末で優雅に壁紙交代.

なんと,ここで,思わぬ情報を.提出すべき
ものは義務ではない,との事.ぼくは速攻で
考えを改める.早くココを飛び出して
スタアバックスカフェに行くか,もしくは
どこか張り詰めた空気が流れるこの部屋で
作業に徹するか.だいたいこういう時ぼくは
前者の選択しかしてこなかったから,たまに
は後者も良いかなと思い,自分の世界に入る.
まだ朝から珈琲以外何も摂取していないのが
引っかかった事なのだが.

一度時計を見た.17時45分.なんともはや.
どこからか,カップラーメンの香りがする.
もう一度時計を見ると20時00分だった.
そろそろ空腹にも耐え切れない時分にて
腰を上げる覚悟を決める.O塚氏に借りた
論文をコピーしてG3棟をあとにする.

今日は,隙あらば三島の短編「女神」を
読んでいた.三島の小説ってなに読んでも
「あぁ,いいお話だ〜」って思う事が
ないにもかかわらず,何度も何度も読みた
くなってしまうのがすばらしいと思う.
もちろん,ぼくは男色じゃないけど.

今日最初の食事はケンタ.以上.ここ数年
のケンタに對して言いたい亊は五萬とある
が今日はやめておこう.日記だし.

すかさず二食目は地元の函館ラーメン.
冬季限定の「辛口函館麺」ってのがなか
なかいけるんだよ.東名川崎を使うこと
があれば是非ともオススメしたい一店.

そういえば,数日前のTVのラーメン特集で
「函館ラーメンが最も本来の中華麺を
 直截的に受け継いでいる」との見解が
述べられていた.今までオリジナル中華
料理のラーメンなるものに興味を持った
ためしはなかったが,それ以降やや食べて
見たくなってきた. 独自に発展した
レプリカに慣れ親しみオリジナルに恋焦が
れる,なんて現象は考えてみれば日常
茶飯事なのかもしれない.

その後,横の古本屋で以前目をつけてお
いた,クノーの「地下鉄のザジ」を買お
うとしていたことを思い出す.なんと行っ
てもそんな作品が30円コーナーに確かに
あったのだ.1週間前は.なかった...
あんなところでクノーを買うような奴が
いたのだ.いや,実は,電車マニアが題名
に騙されて買っただけなのかもしれない.
同じクノーの者でも「地下鉄・・・」は無く
なってしまうが,「文体練習」があれば
無くならなかった,,といった憶測.無論,
「文体練習」の邦訳版は文庫化もされる
はずが無く,ゆえに30円コーナーに並ぶ
とは考えにくいが. とにかく,この日ぼく
はクノーを買い逃したのだ.まさに苦悩の
瞬間とはこれなりか...

ぼくは,いつまでこんな生活を続ける気
なのだろうか.特に誰に迷惑をかけてる
というわけでもないが,たまに真っ当な
所を目指して頑張っている人を見ると瞬
間的に原罪を背負い込んだような感覚に
襲われる.どうして,世界に生きとし生け
る者どもは上を見なくてはいけないのだ
ろうか.どうして義務が存在するのか.
言っておくがぼくは決して左よりでは
ないと思う.無論,右でもないが.左の言い
分や右の言い分,それぞれ,的を得ている
こともあるだろうが,それらは中途半端な
形而上のお話にしか聞こえてこないのだ.

右も左もないところで,霞を喰らいつつ
形而上の亊を考える為にのみ生きる.そ
んな生活につかった今,もはや過去の分
岐は悉く消滅してしまっている.

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